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敬愛なるベートーヴェン [DVD]
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カスタマーレビュー ![]()
あくまでもフィクションということで・・・
(2008-11-05)
コピイスト(写譜師)と言う仕事は、作曲家や編集者が書いた主に直筆のスコア、もしくは手を加えた楽譜を、正しく清書するのが仕事で、マーラーなどはやはり作曲家志望だった夫人のアルマがやっていました。
原題からすると、写譜師からみた孤高の天才ベートーヴェンと言う風にも思うのですが、物語のプロットはそうではない。かといって、彼らの恋愛や師弟愛を歌い上げたものでもない。
途中の第九の初演のシーンでは、さすがにちょっと感動してしまいますが、その後の二人のやり取りには、不要と思われる拭き拭きシーンとかがあって、どうもすっきりしないといいますかピリッとしない。取り扱いの難しい弦楽四重奏曲「大フーガ」を持ち出しては見たものの、効果的なアイテムにはなっていない。
なんだか監督、周辺事情に色気を出しすぎて、いまひとつ彼らの人間像に踏み込んでいけてないような気がするのです。この辺は、「歓びを歌にのせて」と比べると、一目瞭然。
監督のアニエスカ・ホランド自身も、もちろんベートーヴェンを敬愛してやまないそうですが、どうもそういうミョーな敬意が、物語のリアリティを薄めてしまって、ノンフィクションに思われたらどうしよう的な恐れを持ったのではと思ってしまいます。
アンナをもっと早い時期に登場させ、彼女のより細かい心理描写や成長を通して第九誕生の秘密とか、最晩年の人間ベートーヴェンに迫り、第九で締めくくったら、もっと骨太ですっきりとしたわかりやすい映画になったのではと思うのですが・・・。
やはり女性監督と私との相性の問題でしょうか、この終わりなきねちっこさみたいなのは・・・。まあ、音楽をモチーフにした軽いヒューマンドラマとしてご覧ください。
やはり第九のパワーは圧倒的です!
(2008-09-23)
まず冒頭あたりのベートーヴェンの登場シーンが印象的。
はっきりいって、変なおっさんです。
(バックトゥザフューチャーのドクの登場シーンと印象が似ている)
前半は「第9」の初演まであと4日という時間の中で、音楽に向かうベートーヴェンの様々な状況が描かれています。
世間の風評、難聴の音楽家、甥への溺愛、圧倒的な孤独感、音楽に向かう気持ちと姿勢etc。
様々な思いを抱く中、第9の初演は始まります。
前宣の通り、写譜士のアンナが指揮を振るベートーヴェンに合図を送ります。
この第9が流れ始めた時点(まだ1楽章なのに)で思わず溢れそうになってしまいました!
前半のベートーヴェンの人物像の描き方がよい伏線になり、音楽の美しさがとても際立ちます。
終楽章が終わった時には拍手しそうになりました。
ただし、終楽章の終わった場面で流れる音声はベートーヴェンの心臓の音のみです。
(いろんな本にある通り)劇中ではアンナに促されたて観客側を向くベートーヴェン。
ここで割れんばかりの拍手と歓声!
いやー、きましたきました。
ここで終わっても全然良かったと思うくらいここは良いです。
ただ、作品は後半に続きます。
ベートーヴェンが感じる音楽、魂のある音楽とはどのようなものかをアンナに伝道するシーンがポツポツあり、終幕です。
ここでは印象的な台詞を数々残すベートーヴェン。
「音は空気の振動だが、音楽は神の息吹だ」
その中でも上記がピカイチだと思います。
劇中の効果が全体的にロウソクの明かり程度で作られているのもとてもよかった。森の中のシーンなどがその分素晴らしく美しく見ることができます。よい映画でした。
ヒロインのアンナ役であるダイアン・クルーガーはとっても知的で美しかった。
他の作品も見てみたいですね。
才能豊かな美しい写譜師アンナ
(2008-09-16)
孤独な天才音楽家ベートーヴェンと、彼の写譜師となった若くて才能豊かな美しいアンナ。気難しいベートーヴェンが、いつしかアンナに心を開いてゆきます。
この映画のハイライトは、難聴のベートーヴェンの耳となって、アンナが彼の指揮をサポートする、12分にも及ぶ「第九」の初演奏シーンで、ふたりの気持ちが通じ合い、息もぴったりで、迫力ある感動的な場面でした。
主演のエド・ハリスもベートーヴェン役がハマッていてよかったと思いました。
その芸術人生を象徴する「第9」と「大フーガ」の真実
(2008-07-21)
この作品のヒロインである、
ダイアン・クルーガー演じる若く美しい女性写譜師アンナ・ホルツは
残念ながら架空の人物ではありますが、
たとえフィクションの映画作品の中であるとしても、
絶望的な孤独と苦しい病の中で人類への偉大な遺産を作り続けていた、
最晩年のベートーヴェンの側に、
こんな理想的な理解者が短い間でも寄り添っていてくれるなら、
ベートーヴェン本人はもちろんのこと、
彼の死後約180年後も世界中に存在する、
彼を敬愛する者たちの心も癒され慰められるというものです。
この映画には2つのテーマがあります。
第9が象徴する「聴衆の熱狂的な喝采と支持」、
大フーガが象徴する「掌を返すような無理解と拒否」。
ベートーヴェンの芸術人生はまさにこの2つの間で翻弄され、
引き裂かれていたわけですが、
ストラヴィンスキーが「絶対に現代的、永久に現代的な楽曲」と評した大フーガを聴くたびに、この曲について「いつか、誰かが理解してくれるだろう」と言ったと伝えられるベートーヴェンの言葉が思い出され、感慨深いものがあります。
DVDに添付されているカラー印刷のライナーノーツ(堀内修氏の筆による)は、
DVDのための書き下ろしオリジナルで、量・質ともに良い文章です。
監督のアニエスカ・ホランドはベートーヴェンの音楽、
特に後期弦楽四重奏曲の熱烈な愛好者であることを来日の際にも話していましたが、
彼女のベートーヴェンへの『敬愛』が隅々にまで感じられる、素晴らしい作品だと思います。
最後に、名優エド・ハリスへ。
あなたが素晴らしい俳優で芸術家であることは、
過去の数々の出演・監督作で知っているつもりでしたが、
・・・この役を演じてくれてありがとう!
切れ味悪しの凡作
(2008-06-16)
ここでの評価が高かったのでDVDで購入。しかし結論として、大変切れ味が悪く詰めが甘い。好意的な言い方をすれば、104分で充分に描き出せる内容ではなかったのではないか。悪く言えば、製作者の勉強不足。
一般のリスナーから、アカデミックにベートーヴェンを研究する学者やマニアの領域に少しでも入っていると、この内容には満足できないだろう。この当時のベートーヴェンはもっと耳が聞こえなかったはずだなどという外面的なこともあるが、ソモソモ神との繋がりを確信するばかりに考えられないほどエキセントリックだった最晩年の彼は、もっともっと強烈な個性のカタマリだったはずだ。演ずるエド・ハリスの演技がマズイというつもりはないが、ベートーヴェン本人は、「一般人とは明らかに違った人種(あるいは、ケンタウロスのような神性を持った怪物)だったはず」で、良い意味で一般人のハリスにそれを望むのは、ソモソモ無理な相談なのかも知れない。このハリスのベートーヴェンが、「ハイリゲンシュタットの遺書」を書き、あの「日記」を書いた人物だとは、ナカナカ思えない。指揮姿も、うーん、玉木くん演じる千秋真一よりはいいが、ベートーヴェン本人がこうであったろうとは、とても思えない。しかしここは、玉木君の指導役に梅田俊明氏を、ハリスの指導役にホグウッドを選んだプロデューサの眼力不足を指摘すべきだろう。このあたりからして、製作者側のクラシック界への通じ方の甘さが散見できる。
そして、アンナが彼に気に入られるプロセス(それは女性でありながら、一般の男性にも見えない芸術の神性を持っていたことから、理屈では納得できる)も、描写がまだまだ甘い。私は、こんなに僅かなプロセスでベートーヴェンがアンナにあれほどまでに簡単に心を許し、深く信頼し、初演時に(ストーリーのフィクション性は敢えて問題にしないとしても)あれほどまでの表情をアンナに見せる、なんてことが生理的にドーシテモ納得ゆかなかった。最初から150分の作品にするつもりでこの部分を描かないと、「果たしてベートーヴェンとアンナはいったいどの程度つながっていたのか??」といういちばん重要なことが分からない。意味ありげにアンナに彼の身体を拭かせても、アンマリ説得力はなかった。さらに言えば、だから第9の初演時にアンナがあんなに(笑)恍惚の表情を見せても、私にはまったく自然には見えなかったのである(この部分は、確かにクルーガーの演技もイマイチ)。
だったら、ベートーヴェンがああなるまでのプロセスを徹底的に描き込んで、有無を言わせず視聴者を説得し、第9の初演終了で作品も終わらせた方が、よほど良かっただろう。大フーガの初演が失敗だったとかなんだとか、「背景として必要と思われるシチュエーション」を詰め込みすぎて、全体がまったく稀薄になってしまったことも一因。「ベートーヴェンの時代の雰囲気や彼のエピソードを楽しんでもらおう」という意図と、「人間ベートーヴェンを内面から描き尽くそう」という意図は、104分の作品では両立しないだろう。それを無理に実現させようとして、中途半端になってしまったのだ。余談だが、他のレビューアの方も言及されているように、「敬愛なるベートーヴェン」という邦題訳もまったく浅はかの極み。視聴者をバカにしている。
とは言っても、やっぱりベートーヴェン好きが見ると「ああ、彼はこういう時代を生きて、こういう服を着て、こういう道具を使って、こういう日常を送っていたんだな」と深い感慨を受けたのは事実で、本来なら星2つのところ、3つにしておいた。労作であることは認めるし、この作品そのものを否定することはしたくない。ただただ、掘り下げが甘かったことが、ただただ残念なのである。私はいつも良い映画を観ると、少なくとも一日くらいその気分を引きずるが、この映画の気分は残念ながら20分しか続かなかった。
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